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中学校英語スピーキングテスト
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はじめに

今年(令和5年)の中学3年生さんに「ESAT-Jはどうやって勉強するのですか」と聞かれたことがきっかけで、都立高校受検生さんのために中学校英語スピーキングテスト(以下ESAT-J)対策を進路指導者目線に立って考察してみることにした。ESAT-Jのまとめサイトはかなりたくさんあり、ほぼ全てが情報提供に終始し、ESAT-J結果を受検生がどのように活用したらよいかまでは提案していない。ESAT-Jを指導する側のノウハウが合わさって始めて有益な情報となるはずだ。したがって、このページでは総合得点との関連性を明示し、どのように志望校選びに役立てたらよいかを具体例を挙げて説明するところまで踏み込む。現時点で、志望校合格判定がボーダーライン上の生徒さんでも、ESAT-J結果次第で一つ上の上位校を狙える根拠を、最初に課題を提起し、次にその対策を普段と直前期と当日に分けて案内し、最後に具体例を踏まえて明らかにする。

課題

小学校・中学校・高校と8年以上も英語を勉強し、さらに大学受験で相当量の難解な英語と格闘してきたのに、どうして普通に英語で話せないのか?オンライン英会話を含め多数の英語学校があり、これほどまでに恵まれた学習環境なのに、外人と話すときに思っていることの1割も伝えられない日本人がいるのはなぜか?それは学校の英語学習が英語で伝え合うことに直結していないから。つまり、話すことに特化した練習をしていないから、当然話せないのだ。実際、君の思っている英語の音で話しても、外人が聞いている君の音には決定的な違いがある。例えば、runは「ラン」ではなく、「ゥラーン」だよと言ったら驚く人もいて、絶対違うとさえ言う人もいるだろう。だが、アメリカ留学中に発音の専門家の声楽の先生にそのように教わったので、これは紛れもない事実なのだ。その後、芝居の授業でも徹底的に発音を矯正されるのだが、そこでもrunは「ラン」ではなく、「ゥラーン」だった。芝居は声楽同様、発音の正確さを極限まで追及する舞台芸術であり、活舌を良くして英語のコミュニケーション能力を高めるには必須のトレーニングでもある。英語の発音は口の形から唇、舌、歯、息の大小のコンビネーションによって作られるので、普段から舌や口の周りの筋肉を意識して動かさないと伝わる発音にはならない。加えて、日本語英語に慣れている私たちはどの部分を強く発音し、どの部分を弱く読むかについていつも迷ってしまう。さらに、伝わるか、伝わらないかを大きく左右するものにリズムがあり、英語らしく聞こえない原因はズバリここにあるのだ。リズムは聞く側が聴き取りやすくなるので、コミュニケーションの大切な部分である。最初の1・2語は素早く発音し、ポーズを入れるところは前置詞句などのかたまり(チャンク)の手前。例えばI have an uncle in Kyoto.はin Kyotoが前置詞句なので、アイハヴァンアンコー(ポーズ)インキヨトと発音する。リズムは極めて自然なものなので、英語習得上、最後の難関であるといっても過言ではない。では、どうしたら伝わる英語を話せるかを中学校英語スピーキングテスト(ESAT-J)対策を通して具体的に説明する。

ESAT-Jとは

「話すこと」の学習の習熟度を0点から満点の20点までに点数化し、AからFまでの6段階に評価したもの。毎年11月に実施される。実施場所は住まいが三鷹市近郊なら、井の頭線浜田山駅下車徒歩10分の都立杉並総合高校となる。

ESAT-J結果は1月中旬からインターネットで確認でき、紙のスコアレポートは1月下旬に学校に届く。その後、2月に都立高校を受検し、学力検査の得点と調査書点が各都立高校の比(7:3とか6:4)で1000点満点に換算された後、ESAT-J結果がさらに加算されて総合得点として計算され、合格・不合格が決定する。

普段のESAT-J対策

普段のEAT-J対策は一定のボキャブラリーが身に付いたら、ナチュラルスピーチを心がけてスピーキングの練習の一択。ここで言う一定のボキャブラリーとは3年生の2学期までの単語・熟語であり、ナチュラルスピーチとは原稿棒読みでなく、気持ちがこもっている音読である。まずは、話者の音声を忠実にまねることから始めよう。慣れてきたら発音はもちろん、イントネーションやポーズ・ハイピッチに気を配り、話者そっくりの音声に近づける。具体的には教科書本文の音読をCDに合わせてシャドーイング音読する。シャドーイング音読は全部聞き終えてから繰り返すリピーティング音読ではなく、聞こえてきたら影のようについていく音読練習方法である。通訳者さんや正確な発音を指導する英語講師さんは暇さえあれば必ずシャドーイング音読し、日本で生活しても発音を一定のレベルに保つように努力している。この練習方法は意味と文字と音をくっつけて、言語に対する反射神経を高めるのに極めて有効なのだが、その際に気持ちのこもっていない音読練習では決して上達しない。登場人物の心情で音読する、つまり役作りして練習することが重要である。練習量は1日1回を4日間で、1日に4回まとめてやらない。4回目にはたいてい登場人物の心情を理解して役作りが固まり、日本語を話すように、意味を持って音読し始めるのが普通である。それを英語ができる周りの人に聴いてもらい、発音のアドバイスをもらうのが理想的だが、実現できない場合はスマホに録音して、自分で確認するのでも十分効果はある。ESAT-J攻略の第一歩は普段の勉強で本文を音読練習することにあるのだ。まとめると下記の通りだ。
  • 「何を」→教科書の本文を
  • 「どのように」→気持ちをこめて
  • 「どれくらい」→1日1回4日間

直前期のESAT-J対策

あらゆる試験において合否を分けるのは過去問に対する分析力である。最初から上手に解ける人はほぼいない。過去にどのような問題が出て、どのように解答すればよいのか身に付けた人から合格していく。ESAT-J直前期には東京都教育委員会の外国語教育・国際理解教育のサイトで練習問題を解いて問題形式に慣れることをお薦めする。過去3回分のESAT-Jの設問動画、解答例、採点基準が掲載されているので、まずは「解答例あり」で音声をシャドーイング音読して全体的に慣れていこう。全体像がざっくりつかめたら、母音の前のtheを[di]と発音することや強く読むところなど普段の音読練習でやってきたことを活かす。次に、質問に対する解答の形式美に慣れていこう。形式美とは質問された形式で返答すること。例えば、現在進行形で質問されたら、現在進行形で解答する。その際、主語や目的語を適切な代名詞に変換し、三単現なら動詞にsをつけるなど人称に一致させて活用し、名詞には冠詞をつけて、コンプリートセンテンスで解答する。さらに、会話に特化した練習をしたい人は、東京都教育庁指導部指導企画課国際教育推進担当のサイトでさまざまな英語動画教材が視聴可能なので話せるレベルに合わせて活用しよう。ただし、こちらはESAT-Jに直結する過去問でないので、5教科受検準備の中で時間的余裕がある人だけやればいい。

当日のESAT-J対策

到着して受検票確認などの受付を済ませ、会場に入場し、指定された番号へ着席する。机にはマイク付きのヘッドフォンが接続されたタブレット・コンピューターが置かれている。ここで焦らず、まずすることは自分の舌と口の周りの筋肉をストレッチやマッサージしてほぐすこと。私たちが夢中になっているアニメの声優さんたちはたいてい本番録音前にやっている。舌や口の周りの筋肉の可動範囲を広げて、自分の声の明瞭さを最大限引き出すためだ。次にヘッドフォンをつけるが、そこですることはマイクと自分の口との距離の確認。5センチ前後が適切な距離である。マイク本体の接続部分がしっかり固定されていて、グラグラしていないかも確認しよう。もし、ヘッドフォンに何らかの不備があればあれば、すぐに交換してもらう。後は精神集中し、問題をよく聞いて練習した通りに解答していく。問題を聞くときは問いかけの第一語を聞き逃さず、疑問詞疑問文なのか、それともYes/No疑問文なのかを判断して解答につなげる。問題の終わりまで待って意味を取るのではなく、聞こえてきた単語を聞こえた順に意味を取る。聞きながらその一方で、解答を準備する。今まで教科書本文の音読練習をやってきたことを思い出して、しっかり気持ちを込めて、英語らしい発音でリズムよく解答しよう。

ボーダーライン上の生徒さんのESAT-J活用

別ページで都立高校の内申と学力検査の換算方法について説明した。興味のある人は都立高校の内申と学力検査の換算方法を参照しよう。その中で、学力検査での必要得点について具体例を挙げたのは下記の通りだ。

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換算内申点がわかったら、志望高校に対して、学力検査当日に何点必要なのか確認する。

換算内申49のAさんが国分寺高校、小金井北高校、調布北高校のどれかを受検するとする。塾業界最大手の教材出版社の育伸社さんの80%SS合格基準(女子・2021年)を元に計算すると計算式は下記の通りだ。
※80%SS合格基準とは受験者数の大きな学力テストの複数年度結果から割り出された極めて精度の高い志望校合格判定基準である。

80%SS合格基準得点-内申の換算得点=学力検査の換算得点合格基準
学力検査の換算得点合格基準×500÷700÷5=1科目当たりの必要得点

国分寺高校の場合
817-226=591
591×500÷700÷5=84点(1科目当たり必要な得点)
※要再検討

小金井北高校の場合
787-226=552
552×500÷700÷5=79点(1科目当たり必要な得点)
※可能だがかなり難しい

調布北高校の場合
758-226=532
532×500÷700÷5=76点(1科目当たり必要な得点)
※難しいが可能

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志望校合格判定がボーダーライン上の生徒さんはここにESAT-J結果が加算されることを忘れないでほしい。上記のケースにおいて、1月に返却されるESAT-JのスコアレポートがB結果16点以上なら小金井北高校合格に勝算は十分ある。つまり、16点が加算されるということは16点の受検優遇があるのと同じ。したがって、小金井北高校を受検するにあたり、学力検査当日の1科目当たりの合格に必要な得点は次の通りだ。

小金井北高校の場合
787-226=552
552×500÷700÷5=79点
79-(16÷5)=75.8(1科目当たり必要な得点)
※-(16÷5)の部分が受検優遇

一科目当たり75.8点なら調布北高校の場合の76点とほとんど変らないではないか!ESAT-Jのおかげで全体的に総合得点と合格点が底上げされるとしても、ESAT-Jで高得点した人も、やらかした人も小金井北高校を受検するのなら、言うまでもなく大接戦の勝負となる。しかしながら、B結果16点以上なら互角どころか有利な勝負に持ち込んでいるはずだ。逆にESAT-Jを甘く見て、練習しないでやらかした人は苦しいポジション、つまり一問も落とせない気持ちになっており、精神的にも相当プレッシャーを受けているはずだ。ここに相手に隙ができる。つまり、普段は解ける問題なのに、ちょっとしたことで焦って解けなくなってしまうのだ。受検倍率の高い激戦校ならこの1問が勝負を分ける。これが一つ上の上位校合格の決め手になる材料だと幣塾は判断する。だから、ESAT-JがB結果16点以上なのに、一つ上の上位校をあきらめようとしていた生徒さんの背中を保護者さまの了解を得て押したのだ。これからの受検生さんにもそうするつもりだ。

終わりに

ESAT-Jについて書いてきたが、現在ボーダーライン上で一つ上の上位校をあきらめようとしていた受検生さんはどう受け止めただろうか?君たちの周囲にはありとあらゆる受検情報があふれている。中でも、有名な塾さんの広告はびっくりするようなセールス・トークで、いつも受検生さんを振り回し、不安を煽って心をかき乱すことさえある。例えば、「受講生の90%が成績UP!」とか「最新の教材と最高の講師陣で都立入試に強い!」とか「都立上位校合格者〇〇〇名!都立高校合格率No.1!」といった類のものだ。20年近く、都立高校受検生さんを支え続けてきて、君に伝えたいことがある。それは受検において、一番大切なことは塾の誘いに乗ることではない。勇気を振り絞って、自分を信じて最後まであきらめずにやりきること。この一言に尽きる。それをすれば、たとえ結果がどうであろうと、今後の人生に大きな自信となって君を助けてくれる。自分を信じて、受検までの日々を大切にし、自分らしく戦い、君の努力が結実するのを心から願っている。